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御岳山の神様

ああ、またしてもひと月が終わろうとしております。
サヨナラ、セフテンバー!

さて、何をしていたかというと、普通に生きておりました。
で、もはや1週間も経ってしまったシルバーウィーク(こんな呼び方、直前に知った)は、東京の西の端にある御岳山(みたけさん)へ行ってきた。

以前にも電車で行ったことのある御岳山。
東京とは思えないほどの大自然である。
まずはちょいと手前の「沢井」駅周辺で昼メシを。
こちらは沢乃井酒蔵という日本酒の造り酒屋さんが有名で、川のほとりにちょっとした沢乃井パラダイスが展開されている。まぁ、要はレストランやら露店やらお庭やらなんですが。
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お酒が美味しいってことは、お水も美味いということであり、その湧水を使った豆腐料理のレストラン。
落ち着いた中で食べられて、目にも美しい盛りつけ。
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そして、外の空気が心地よい時期にのんびりできるお庭と売店。
無料で40分ほどの酒蔵見学もできるということで、こちらも体験してみた。
ひんやりした酒蔵にカンフー君は驚いてました。クーラーもないのに、なんでこんなに涼しいの?と。

こんなふうに都心近郊でも本格的な酒造りの現場に触れられるとは、日本てなかなか楽しいじゃあないか、と改めて思う。

その日の宿泊先は、目指す御岳山の中腹にある御嶽神社の宿坊「山楽荘」。
宿坊ですよ、宿坊。いや、驚いた。
というのも、勝手にK氏が予約したんですが、彼も単なる民宿かと思っていたらしい。
つか、宿坊なんてカテゴリーはご存じなかろう。
憧れていた「宿坊体験」がこんな予想だにしない形で突然やってくるなんて。ああ、2礼2拍手1礼。

▼山楽荘への石畳の道のりと、正面玄関
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元来、宿坊はお寺専属のものだと思っていたのですが、神社にもあるとは知らなんだ。
というわけで、御嶽神社の宿坊は計26軒もあるのだそうです。
それぞれの宿坊の宿主さんはほとんどが御嶽神社の神主さんということも、驚きの真実。
今回、ご縁があった山楽荘はその中でも有名なところらしい。
というのも、部屋にあった数冊の雑誌や書籍にまさに今いる「山楽荘」が載っている。
それも、宿主さん=神主の片柳さんが「ヒーラー」(ヒーリングのヒーラーね)ということで、癒しのスポット、スピリチュアルな宿、ということで掲載されているではないか。

お部屋は宿坊といえば、なるほど!という雰囲気の8畳間。
子供のころに訪れた鎌倉の祖父母の家と同じ匂いと静けさが漂っていた。懐かしいー。
その日の気温は夏のようだったのに、さすがに標高の高い場所、日が落ちた後は寒いんだコレが。

夕食は神主さんがこだわって栽培した有機野菜に川魚、さらに野生のイノシシをとらえた(!)というしし鍋などの滋味豊かな家庭的な料理。
命をもらって、命をつなぐ、という神主さんの言葉にぴったりな有難さを実感させられるお食事でありました。

こうして1泊するだけなら、単なる民宿。
「宿坊」が「宿坊」たる所以は翌朝にあるのだ!

というわけで、山楽荘では早朝から「朝拝」なる神道の朝のお祈り体験ができます。
せっかくの宿坊につながったのも何かの縁。
6時半から開始と聞いておののいていましたが、雑誌の朝拝体験談を読むにつれ、低血圧気象困難の苦しみをおしてでも参加せねば!という気持ちになり、前夜に朝拝の予約をする。

神主の片柳さんは我々の父親世代、もとはサラリーマンであったのが結婚(婿養子)を機に神道の世界に入られたそうです。
友人の死をきっかけに、それでも淡々と動いていく企業の歯車・会社員という職にも疑問を感じるなど、おそらく様々な苦労を乗り越えていらっしゃったのだろう懐の深さを感じさせる、温かい雰囲気の方でした。

さて、朝拝。肌寒い中でも、すがすがしい空気の中、広間に行くと、私のほかに同世代の女性が二人いらっしゃった。
時間ぴたりに神主さん登場。前夜の民宿のおじさんとは見まごう、白装束に烏帽子という正に神社の主のお姿。
これは神道の祈祷のひととおりの作法体験ですよ、という言葉に従い、およそ50分間、二礼二拍手一礼の儀や、神主さんによるお祓い、呼吸法の練習、精神集中の方法、祝詞の朗読など、張り詰めた中にも柔らかい空気での不思議な体験でありました。

最後に護摩札と、神主さん直筆の色紙をいただけます。
そのメッセージは一人一人に違った言葉を贈ってくださるのだが、おお、また背中を押してくださるのですね、神主様!
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自分を信じろ。出来ないと思えば出来ないよ。
まずは念ずること。そして念じたことを行動に移すこと。
そんな言葉が心に残っとります。
宗教云々よりも、山谷を乗り越えながら人生を歩んでこられたその人柄がじんと胸に染みた旅でした。

by rubico-teji | 2009-10-01 01:10 | お出かけ…の巻