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今日で2週間

日付変わりまして、25日の金曜です。
変わらず香港での生活が続いています。

毎日、海外から見られるNHKのUstream放送のニュースに一喜一憂。
このUst.では、テレビでは全放映されない原子力保安院および東京電力の記者会見の一部始終を見ることができます。
なにせ海外で情報減が少ないので、会見が開かれれば食い入るようにこれらを凝視してしまう毎日です。

で、地元香港ではどうかといえば、連日必ず日本の地震ニュースを伝えてはいますが、やはり視点としては、どのくらい原発の影響が来るか、ということですね。
放射線が風に乗ってどのくらい流れてくるか、とか、これは今夜の日本のニュースにもなっていましたが、香港政府の輸入野菜の放射線規定値検査で何が引っ掛かったかとか。

特に香港では「Made in Japan」信仰というものが非常に強いわけで、中でも日本では意外に知られていない根強い人気商品が「日本製粉ミルク」なのです。
そんなわけで、大人気の安心ジャパン粉ミルクの買い占めが横行しております。

ここ香港においては生鮮食品で地場産というものがない。つまりはすべての野菜や乳製品は大陸=中国本土産。
いくら地続きの中国とはいえ、香港市民はやはり中国産食品よりは日本産、という意識が刷り込まれているようです。
巷のスーパーを覗いても、果物や野菜、海産物なども「日本産」の3文字がブランドになっているそうな。(オットいわく)
つまりは香港、農業や畜産業に限りなく適していない土地なのだと思う。
ゆえにオットが日本に来て、こよなく牛乳を愛でているのも、地場産の新鮮な乳製品が当たり前にあるという我々のような環境には育っていないことからと推測されます。

こういう状況下、今後は日本産の文字が逆に危険なキーワードになってしまうのかと思うと切ない。
というか、中国産野菜のほうが怖いという話もなきにしもあらず。
しかし現在、私の食生活はあんなに毛嫌いしていた中国野菜漬けです。いや、贅沢は言ってらんないよ!
足を延ばしてゆっくり布団にくるまれてるだけでも幸せなこった。

でもやはり、外国にいるということは、自分の痛みが誰にも理解してもらえないというような孤独感に苛まれるものです。
じゃあ、どれだけ避難所の皆さんの苦しみが分かっているかと言えば、返す言葉もないのだが、レストランのTVから流れる日本の震災ニュースを眺めているとき、食事をしながら歓談している異国人たちの脇で、自分だけが悲しみに取り巻かれているような気分になるのも事実。

つまるところ、震災に限らず、誰かの中の喜怒哀楽すべてを他人とそのまま100%共有することなんてできるはずはないのだ。
仮に当たり前の生活の中で大きな悲しみが自分を襲ったときでも、すぐ隣ではいつもと変わらぬ日常が繰り返されているわけで。
その隣の他人を恨んでみても始まらない。
ある時は、自分自身がその「隣の他人」であるに違いないのだから。
自分は自分でしかない、とつくづく思ったここ数日だが、また一方で、自分じゃない自分になれたらいいのに、という思いも湧いたりした。
難しいっすね。生きるって。

by rubico-teji | 2011-03-25 00:55 | 生きる…の巻